Gartner の最近の Supply Chain Planning Summit で、オン・セミコンダクター社のグローバルサプライチェーン担当副社長である Chance Finley 氏と共同発表する機会がありました。同社は年間の売上高が80億ドルを超える、先進の半導体メーカーです。
2022年以降、Blue Yonder はオン・セミコンダクター社と連携して、レジリエンスを向上すべく同社のサプライチェーンのデジタル変革を進めてきました。その際、最初に焦点を当てたのは需要計画でした。まだ道半ばですが、Finley 氏は参加者に対し、変革の背後にある理由に加え、オン・セミコンダクター社のチームがこれまでに学んできたことについて説明しました。
あらゆるビジネスは独自のサプライチェーンの課題に直面していますが、オン・セミコンダクター社の歩みは、このような根本的な変革を検討している全ての企業にとって、勇気を与えてくれると思います。ここでは、Gartner のセッションで Finley 氏が強調した重要なポイントをいくつかご紹介します。
不確実な状況下で確実性を実現
最も予測しやすい市場環境においてさえ、オン・セミコンダクター社はサプライチェーン計画の大きな課題に直面しています。毎年、オン・セミコンダクター社は600億以上のユニットを出荷しており、そのSKUは30,000個を超え、サイズや機能も多岐にわたります。世界の自動車産業は大手の顧客であり、Finley 氏によると、完全な電気自動車である新型 BMW i7高級セダンにはオン・セミコンダクター社の半導体チップが数百個も搭載されています。さらに同社は、グローバルなエネルギー、航空宇宙、防衛、工業、医療市場にも対応しています。
同社は、9か国の19の拠点でさまざまなソリューションを製造しています。さらに、ファブレスな半導体メーカーとは異なり、オン・セミコンダクター社は社内にシリコン生産能力を持っています。その結果、非常に複雑なサプライチェーンが形成され、最適なサービス実績と業績を確保するためには、正確に管理する必要があります。
ここ数年の特徴として、世界の半導体業界における極端な市場変動に見舞われています。このような不確実性により、オン・セミコンダクター社は確実性と予測可能性を持ってサプライチェーンを運営することが非常に困難になりました。
Finley 氏は、次のように述べています。「コロナ禍にチップが供給不足になると、供給の割り当て、予約管理、顧客とのコミュニケーションに関する緊急のプロセスとシステムの問題が浮き彫りになりました」
「同時に、当社は新たな CEO を迎えて企業戦略を変更しました。強い収益と利益を支える 「良い 」受注と、利益率の低い、あるいはそうでなければ望ましくない受注を区別することにしたのです。問題は、その区別を行うプロセス、ツール、およびデータが不足していたことでした」
「新たな戦略方針は、当社のシステムの弱点を露呈し、変革の必要性を明らかにしました。当社では、手作業でスプレッドシートを多用し、残業する従業員は多く、後手後手に回る状況が多く、先手を打つ対応が不十分でした。また、50年以上前の古いシステムを使用していました。これらさまざまな事情をすべてまとめると、変革が必要なことは明らかでした」
徹底的なRFP とベンダー選択プロセスを経て、オン・セミコンダクター社は Blue Yonder との提携を選びました。当社の需要計画ソリューションは、数か月以内に本稼働を開始する予定で、供給計画と販売業務計画もそれに続く予定です。
すべての始まりは需要から
Finley 氏によると、オン・セミコンダクター社でのデジタル変革は、需要を正確に把握することに重点を置くことから始め、その後視点をサプライチェーンに連鎖させたことは、理にかなっていたからでした。正確な予測を作成し、利益やその他の指標に基づいて需要をセグメント化し、需要を在庫レベルと生産スケジュールに合わせて調整することで、オン・セミコンダクター社は現在の市場変動の中で成功を掴む準備を整えることができます。
Finley 氏は、次のように述べています。「当社はチップ不足に対処してきましたが、パンデミック後の供給の回復により、別の不確実性が生じ、当社のサプライチェーンの課題が供給の最大化から需要予測に戻りました」
「世界的な半導体不足により、通常の場合よりリードタイムが長くなり、その後、予約の延長と長期の契約が殺到し始めました。現在は、過剰な予約が、顧客チャネルで在庫を増やす原因となっており、最終顧客の真の需要に対する当社の見通しをあいまいにし、意思決定を困難にしています」
「Blue Yonder の需要計画ソリューションは、真の需要を判断するのに役立つだけでなく、利益、在庫レベル、その他の要因に基づいて需要をセグメント化できます。注文が入ると、計画エンジンが注文に関連する各種変数を自動的に確認し、注文を充足する方法、場所、時期について適切な判断を下します。当社は後手後手に回るのではなく、先手を打てるようになるのです」
デジタルスレッドの重要性
Finley 氏は、オン・セミコンダクター社の全世界のサプライチェーンにデジタルの糸を張り巡らせることが、変革を成功に導くために絶対に欠かせないと指摘しました。
「需要計画を始めたときに感動的だったのは、サプライチェーン全体で相互接続を実現していることでした。供給サイドを需要サイドに結び付けると、推進しようとしているビジネスの成果を共有することができるようになります。私たち全員が一つの一致した計画を持つことになります」
「オン・セミコンダクター社では、実際、その結びつきが欠如していました。そのため、最初の大きなハードルは、サイロ化されたシステムを会社全体で統合することでした。実際に互いに会話し、同じ言語で業務を行い、同じデータを使用することです」
「要するに、デジタルスレッドは、システム全体、プロセス全体、最終的にはデータ全体に相互接続性を構築する概念です。今日、人工知能 (AI)、機械学習、生成 AI、予測分析については、誰もがよく耳にするものの、優れたデータとシステムの統合がなくして、こうした機能を活用することはできません」
Finley 氏によると、Blue Yonder の Platform は重要な差別化要因であり、End to Endのサプライチェーンの統合とデジタルスレッドの実現に役立ちます。
経営幹部のサポートが不可欠
過去2年間で Finley 氏が学んだ最大の教訓の1つは、この種の抜本的な変革の推進には、経営幹部の後押しが重要なことでした。
「私たちは、このプロジェクトにかかる費用、そこから得られるもの、そして課題を理解してもらうために、全プロセスを通じて主要な経営幹部たちに参加し、情報を提供し、関与し続けてきました。このプロジェクトには、全社のあらゆる組織から代表者が参加し、分野横断的に100人以上が携わっています」
「また、このプロジェクトで専任の変更管理者が任命されました。その唯一の目的は、私たちが正しくコミュニケーションをとっていること、これから何が起こるのか、このことが今後の生活にどのような影響を及ぼすのかを人々が理解していることを確認することです。企業文化は計画に勝ります」と Finley 氏は強調しました。
「人々が鍵です。人々が実際に取り組まなければ、何かを変革することはできません。企業文化が私たちの取り組みの成功への鍵です」
独自の変革を開始
オン・セミコンダクター社に起きている変化を見ることは感動的でした。また、私たちは、この春の需要計画の展開が楽しみです。
自社のサプライチェーンの変革に取り組む準備ができているのであれば、どのようにして Blue Yonder が支援できるのかを知ることから始めてください。サプライチェーンのレジリエンス向上を目的とした、AIを活用するコグニティブ・プランニング・ソリューション を提供しています。